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血糖値チャレンジ! コラム2 脂肪とカロリー

 以前救命センターで働いていた時、交通事故の若者が運ばれて来ました。

彼は事故のダメージで全身状態が悪い上に腸の損傷もあり、食べ物を食べることができない状態が長く続きました。

栄養は点滴で血管から送る必要があります。

病気の事もあるので3,000kcalに相当する栄養成分を計算して点滴します。

栄養は充分足りているハズでしたが、みるみる彼は痩せていきました。

治療の甲斐あってようやく状態は安定し、問題は腸だけ、という状況になっても体重は増えませんでした。



 治療の最終段階で腸を修復し、ようやく栄養を口から(正確には鼻から胃に通した管から)摂ることができるようになりました。

はじめは水を流し、腸が漏れていないかどうかを確認しつつ、徐々に栄養のあるものを管から流していきます。

腸に流れる栄養を増やせば点滴の栄養を減らし、慎重に腸からの栄養に移行していきます。

ある程度の栄養を流したところで大丈夫と見極め、栄養剤の点滴を中止しました。


 経過を見ていたのですが、入っているカロリーは増えていないにも関わらず、腸での栄養を増やすようになって、皮下脂肪が少し付いたように思いました。

さらに腸での栄養に完全に切り替えると、明らかに痩せこけた表情から顔つきが変わってきました。



 いわゆる基礎代謝といわれる生きて目覚めているだけで必要とされる栄養は1,200kcalと言われています。

その時に彼が腸から摂っていた栄養は1,500kcalです。

最低限必要とされる量に少しプラスした栄養しか摂っていないのに、太るのです。

病気を直すことに使われていた栄養があるにしても、極端に過ぎます。


 点滴の栄養剤はカロリー比で糖の割合が約80%と非常に多いのですが、約3,000kcalを24時間かけて流します。

腸から入れる栄養剤は炭水化物の割合は約55%ですが、1,500kcalを500kcalずつ、1日3回に分けて1回当たり2時間ぐらいで流します。

腸から取る糖/炭水化物の方が少ないのですが時間当たりに直すと、腸から栄養を取る方が炭水化物が急激に流れ込むため、急激に血糖値が上がり、インスリンも腸から流す方がたくさん分泌されます。

インスリンはブドウ糖を脂肪に変えるので、たくさん分泌されるとたくさん脂肪に変わります。

そのために少ないカロリーでも、脂肪を蓄えることができるのではないかと考えています。


 簡単に言うと、急激な炭水化物の摂取によって脂肪が増えて太ります。



 と、頭では分かっているのですが、うどんや丼など、炭水化物を多く含む食事は美味しいので、つい食べ過ぎてしまうのが難点ですね。

(´д`)

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